北海道の道央地区で家庭菜園を初めて約10年。
あまり家にいない私ですが、週に1回か2回の手入れでも数種類の野菜が収穫できるのはとても楽しいです。
北海道は夏が短いので収穫時期もあっという間に過ぎていきます。
雪が降らなければ冬も育てられるのに。
でも雪が積もるおかげでいいこともあります。
いくら手抜き栽培でも、雪解け後の土作りだけは頑張らないといけません。
今回はいつもの春先の土作りの手順を紹介します。
土作りさえしておけばなんとかなる
私の小さな花壇とプランターから始まった野菜作りですが、実家の菜園を1坪借りて数年、その後は実家に同居となり持ち主の父がなくなったため自宅の菜園エリア5坪くらいを管理しています。
あまり良い土ではなかったのですが毎年土壌改良を心がけ、やっと野菜作りがしやすい土になってきたかな。
面倒くさがりの上に夏場は出張が多くて畑の世話ができない私、水やりと収穫は見かねて家にいる母が手伝ってくれることも。
週に1回、数時間手入れをするくらいの手抜き栽培。
ただ手抜き栽培のためには、レイアウトを含めた土作りが重要だと思っています。
春先の大仕事ではありますが、ここさえ頑張れば、植えっぱなしでもなんとか育つのです。
忙しい初心者が管理しやすい家庭菜園の大きさは3坪
1坪~2坪(3.3平米~6.6平米)が初心者向けのサイズと言われますが、狭いと作物のローテーションがしにくくて連作障害がおきやすくなります。
どうしても密集して育てることになるので、病害虫の発生もしやすいですよね。
だから1坪や2坪では逆に初心者には難しい気がします。
少しゆとりを持って3坪がちょうどいいんじゃないかしら。
3坪なら女性一人で土を耕す前提でも、1日あればなんとかなる範囲の大きさだと思います。
もちろん疲れちゃうので、数日に分けても。
我が家の場合は庭の半分に大体3坪の畑が作ってあり、2坪くらいの裏庭でもいろいろ育っています。
私は畑仕事は好きですが、時間があまりかけられないので、どうしたらメンテナンスを楽にできるかというのが工夫のしどころ。
このへんは長くなるのでまた別記事にしています。▼
春の土作り手順(通常栽培・慣行栽培)
雪解け後土が乾いたらすぐ土を起こし、石灰と堆肥をすきこみます。
といっても4月に入っても雪が分厚く残っている年もあるし、一度雪がなくなっても4月末に最後のドカ雪が降ったりもするのが北海道。(札幌や札幌近郊の場合)
だからビニールハウスを持っている人ならともかく、普通の露地栽培の家庭菜園で早春に始めるのはなかなか難しいですよね。
しかも土がまだ湿っているうちにあれこれやっても、土は重たいですし踏み固めてしまうことになり、ふわふわの土が作れません。雪が減ってくると気がはやりますが、ここはぐっと我慢です。
早く乾かしたい部分は、雪をできるだけ寄せて取り除きます。
それからがうっすら見えるくらい雪が解けてきたら、ざっくりと大きく土をひっくり返しておく感じ。
このあとまた雪が降ったりしてがっかりすることもありますが、土がデコボコしているぶん、陽が差し込むので他より早く解けます。
秋のうちに来年の植える場所を決めておくとそこだけ早めに準備を始められます。
わたしの場合、ほうれん草はできるだけ早めに植えたいので、こんな感じで準備しています。
雪が畑を育ててくれる
北海道は冬の間が長く、雪が積もるのでその間はほとんど何もできません。
雪は厄介者のように思ってしまいますが、実は雪には良い効果もありますよ。
たとえば一説によると、雪の水分が染みこむことによってそれが凍ったり溶けたりを繰り返して、土の粒子を細かくしてくれる効果が。
そして雪解けの際に一気にしみ込む大量の水分が、連作障害のもととなる成分を流してくれる効果もある程度期待できます。
だから雪が積もるのもいいことなんですね。
早く春の土作りをする裏技としては、秋に決めた場所に雪が降る前にシートをかぶせておくという方法もあります。
春にそのシートをよければ土が出てくるので簡単ですよね。
ただ、前述のように雪の効能を考えると雪が全くかからないのもどうかな、と思うんですよね。
だから雪が解けるまでじっと辛抱が肝心かも。
粘土質の土には堆肥をしっかり入れ込む
土が乾いたら、ようやく堆肥を鋤き込みながら耕します。
土壌改良のための堆肥として冬の間もずっと作っている生ごみ堆肥と、牛ふんを合わせて毎春入れ込みます。
関連記事 冬のコンポスト管理のコツ|生ごみ堆肥の作り方|北海道
堆肥量の目安は1平方メートル当たり2kgとよく言われるのですが、うちの畑の半分くらいは少し深く掘ると粘土が出てくる土地のため、そこは少し堆肥多めで毎年頑張って混ぜています。
初期のころはこんな感じに粘土の層がすぐ出てきていました。
黄色っぽく写っているのが粘土です。実際には黄色というよりもう少し白っぽく、なんとか崩して乾くとポロポロになりますが、雨が降るとまたバリッと固まるのです。
堆肥を毎年しっかり混ぜるようにして、いろいろ植えていたらだいぶ粘土質の層がほぐれて、いい感じになってきました。
堆肥を混ぜながらしっかり耕した土は、こんもりふっくらと盛り上がります。
ちなみに私は土起こしは先のとがった丸型スコップでやり、耕すのは「備中鍬(びっちゅうぐわ)」とも呼ばれる3本鍬でやっています。
有機石灰を鋤き込む
土を起こして堆肥を混ぜた後は、石灰を足してさらに耕しながら畝を作ります。
石灰は土の上に一面にばらまき、石灰の白いのがすっかりなじむように鍬で耕します。
石灰の量は1平方メートルあたり100g。
石灰は「苦土石灰」が定番ですが、わたしは北海道で安く買える「ホタテ貝殻有機石灰」を好んで使っています。
有機石灰は忙しい人向きです。
私は春先ちょうどいいときに作業ができないことがあり、畑全体の土起こしと元肥入れがほぼ同時になってしまったり、
土作りして畝を作ってから苗を植えるまでに数日しか空けられなかったりすることがあります。
私みたいな人には、苦土石灰ではなく有機石灰(ホタテや牡蠣の貝殻石灰)のほうがいいです。
有機石灰は効き目がゆっくりなので、苗を傷める心配が少ないからです。
肥料と同時に鋤き込んでも平気だし、土を固くしないのが有機石灰。
元肥を鋤き込む
種まきや苗を植える日が近づいたら、元肥(もとごえ)として化成肥料をうっすら入れます。私は「窒素8-リン8-カリ8」の肥料を使っています。
この作業はできれば2週間前に行います。
期間が短いと根を傷めることがあるからです。
肥料は「うっすら」の量が難しいですが、多すぎると葉ばかりしげったりするので、少な目を意識。
元肥は植えたいものによって必要量が違います。
ナス科、葉物野菜を植える場所には1平方メートル当たり100gくらい。
キュウリとかナスはもう少し多くてもいいみたいですし、マメ科は入れないほうがいいし、どこに何を植えるか決めてから調節が必要です。
北海道の植える時期は少しずれているので、最初は本を参考にするといいと思います。
こちらの「はじめての北の家庭菜園」という本は、品種ごとに植える時期と肥料の量なども書いているのでわかりやすい!
あとは植えるものに合わせた高さと幅に畝づくりをして終了です。
秋にやっておく土作りと畑じまいのやり方
春の土の準備、遅い雪解けを待って行う場合はまだかまだかと焦ってしまいますよね。
それで、土作りは秋の収穫後に済ませておくのがベスト!
畑じまい
- 取り残しの実や種の付いた花などは落とさないように集め、捨てます。コンポストに入れても種は分解されないものが多く、来年芽を出してしまうため、混ぜないようにしましょう。
- トマトやナスなど支柱を立てていたものは外し、茎をカットしてゴミ袋に入れます。(特にナス科のものは病気予防のために畑に残さないほうが良いとされているので、これもコンポストには入れずゴミに出します。)
- その他の野菜の残った葉茎は、できれば細かく刻んでコンポストへ入れて堆肥にします。大量にあるときは、「押切」を使うと便利。
小枝や野菜茎を細かくできる押切という道具についてはこちらの記事でまとめています▼
庭の剪定小枝をチップにするならガーデンシュレッダーより押切り機がおすすめ - 太くてハサミでは切れないような茎は畑の隅に転がしておくと、雪の下である程度腐食しますので来春に片付けてもいいです。
- 土の中からは大きな根を取り除きますが、取り切れない根は土の中に残したままで大丈夫です。自然に分解されます。
- 最後に畝をざっと崩し、軽く土をならしておきます。(来年のため、どこに何科の野菜を植えていたかはメモしておきましょう)
畑じまいのときには、育てていたものの残渣を片付けし、畝を崩して畑の土をならします。
これで「畑じまい」となります。
※これは通常栽培のときの畑の片付け方法ですが、自然栽培方式でやるともっと楽にできます。
新しくまとめた記事がありますので興味のある方はこちらもどうぞ▼▼
「秋の畑じまいの簡単なやり方」)
余力があればこのあともう少しガンバリマショウ。
秋にできる土の整備
畑じまいのあと、土を整備しておくと春に楽できます。
何もなくなった畑、畝の土をひっくり返していわゆる「天地返し」をします。
先に土の表面に堆肥と有機石灰を撒いておき、スコップでざっくりとひっくり返すようにして軽く耕します。堆肥を混ぜ込むことで、連作障害もいくらか抑える効果があります。
肥料は成分が雪で流れてしまいますので入れません。
土はならしすぎずデコボコにざっくりさせておいた方が、内側まで冷たい風が入り込んだり、凍ったりしやすいので害虫駆除になります。
これが「寒さらし」という作業ですね。
北海道の場合はこの上に雪が積もるわけですけれども。
わたしはこの作業、いつも腰が重くて、ぎりぎりです・・・
雪が降るまで秋の小松菜類を植えっぱなしなので、そのエリアはできません。
ミニトマトやピーマンなど夏野菜が育っていたエリアだけは、秋のうちに土を整えなおしておくようにしています。
雪が降る前にコンポスト容器の位置を冬用にずらす場合は中身を出すので、その堆肥化した中身を土にすき込むのに使ってもよいです。
もし、まだ生ゴミの形が残っているなど未熟な場合は、その時点では土に混ぜ込まず畑に掘った穴にまとめて入れておきます。そうすると、春までによく分解されますので、春の土を起こす際に土と混ぜるようにして鋤き込みます。
秋に土作りをした場合は、春の種まき前の石灰の量など調節するようにします。
土の酸性度を量ると確実。
簡易的な酸度測定器があれば便利です。私も持っているタイプ▼
先に苗作りをしておくと時間短縮ができる
さて、春先に話は戻ります。
春の土作りが終わって一安心、でも外気温が殆どの野菜の種まきに適した温度まで上がるのはどんなに雪解けが早くても5月以降です。だからまず先に室内で苗作りをしておけば、時間短縮ができます。
トマトやピーマンなどの苗はプロ農家さんが作ってくれた苗がホームセンターに並んでから買ってくるほうが確実ですが、葉物野菜の苗ってあまり売っていませんよね。
ほうれん草や小松菜など葉物野菜はセルトレイに種まきして苗を育てておく方法があります。セルトレイで作るプラグ苗なら、移植が苦手なほうれん草などもさっと植えられるので大丈夫です。
北海道の場合なら室内では暖房の熱がききすぎるので、日の当たる玄関フードとかサンルーム、暖房をつけない部屋の窓際などで苗作りをするといいでしょう。ただし、日差しが強いと高温になってしまい芽が焼けることもあるので、その場合は日陰に移動させるなど工夫が必要です。
我が家の場合はベランダに作ったサンルームで苗作りをしますが、暑くなりすぎるときはドアを開けたり日よけをしたりして調節しています。
参考にしているのはこの本↓
「市民農園1区画で年間500品目の野菜を育てる本」
北海道の気候とは違いますが、セルトレイで苗を作っておいて次から次へとリレー栽培をする方法がまとめられています。狭い畑でもたくさん野菜が作れます。
(この本は有機農法を基本にしているので、この記事で紹介した慣行農法の土作りとは異なる部分もあります)
セルトレイを買わなくても、卵パックで苗作りもできます。
ただセルトレイのような深さがないので、根が張りづらい野菜も。根を長く伸ばすほうれん草などはむきませんが、花やレタスなんかは成功しました。
ちなみに、4月の土作り直後に地植えで植えられる野菜もいくつかあります。低温に強い野菜なら大丈夫。
こちらの記事でまとめています↓
北海道の家庭菜園土作りまとめ
北海道は雪解けまで作業ができませんが、雪のお陰で土の状態が良くなると考えれば我慢できますね。
できる部分だけでも秋のうちに土作りしておくと、とても楽です。
北海道でおすすめの石灰は「ホタテ貝殻石灰」。土を固くしない有機石灰です。
以上、簡単ですがいつもの私の土作りの手順をご紹介しました。参考になる部分があれば嬉しいです。
*おわり*
追記:現在は有機栽培に移行しています
この記事の内容は2019年までの家庭菜園の経験をもとにまとめていますが、その後、我が家の家庭菜園では徐々に化成肥料を使わなくなりました。
そして2021年春からは、化成肥料をゼロにし有機農法のやり方を取り入れて作っています。
混植や草マルチや不耕起、垂直栽培など視点が真逆のことも多くてはじめは驚き!
でも自然のサイクルを最大限利用することで、たくさん肥料を入れなくても育てることは可能になるんですね。
我が家のなんちゃって有機栽培の成果・感想は改めてまとめたいと思います。
インスタグラムでは実践してみた様子を随時投稿していますのでよろしければご覧くださいね。
有機農法や自然栽培に興味のある方はこちらの本が参考になります▼
ちょっと細かくて読むのが大変ですが、とても詳しく書いてありますヨ。
我が家で試して良かった方法・アイデアなどを目次にしてあります。
よろしければあわせてご覧ください。