7月になりましたね。
7月の食育テーマとして食育インストラクター協会で提案されている食育ピクトグラムは「手を洗おう」です。
感染症対策で手を洗ったり消毒することがすっかり習慣になりましたが、食中毒予防に対して最も効果的なのも手を洗うことです。
この記事では、食中毒対策として手を洗うことと、注意したいちょっと意外な料理を2つ取り上げますね。
どうぞ最後までご覧いただけると嬉しいです。
(参考:政府広報オンライン「食中毒予防の原則と6つのポイント」)
食中毒を引き起こす菌を付けないためにはまず手洗い!!
食中毒を引き起こす菌には、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、ノロウイルス、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌などがあります。
そのほか、このあと取り上げるウエルシュ菌やセレウス菌がありますし、菌ではないですが寄生虫のアニサキスによる激しい腹痛や嘔吐も食中毒に含まれます。
どの食中毒菌も、自然界のあらゆるところに生息しているので無菌状態にするのは無理なこと。
しかし食材や料理につく菌を最小限にすることはできます。
そのためには、何よりもまず手を洗うことが大切というわけです。
といっても、いつ洗うのが効果的なんでしょうか。
いつ洗う?
- 料理を始める前
- 調理中
- 盛り付けの前
- 保存する前
食材に触れる前、料理を始める前に手を洗うのはもちろん、調理中に自分の顔や髪を触ってしまったり、ペットに触ってしまったときがあったらその都度調理に戻る前に手を洗いましょう。
また、生の魚や肉を触る前と後、それぞれ手を洗います。これは魚や肉に手についた菌をつけないためと、魚や肉についている菌を広げないためです。
また見落としがちなのが卵かもしれません。卵の表面についている菌もありますから、卵を触る前後にも手を洗う必要があります。
また調理の仕上げに庭先からハーブを摘んで散らす、なんて場合も、手を洗い、摘んだ食材の土汚れ等を洗い流すことを忘れずに。(土に潜む食中毒菌がいます)(これはわたしがよくやるので自戒をこめて・・・)
さらに、多めに作った料理を保存用に取り分けるときや、残ったものを移し替える前にも手を洗いましょう。調理の段階までは大丈夫だったのに、保存するときに菌が入り込んだら悲しいですよね。
こう書き出してみると、調理中は何度も何度も手を洗うことになりますね。面倒かもしれませんが、あの辛い食中毒になるよりまし!ではないでしょうか。
特に気温や湿度が高い梅雨時から夏の間は、いつもよりこまめに手を洗うことを意識しましょう。
さてこの後は、ちょっと意外な(?)料理でも要注意、ということで代表して2つの例を取り上げたいと思います。
煮込み料理で要注意の食中毒菌がある
スパイスたっぷりのカレーや、しっかり煮込んだ料理は「腐りにくそう」ですよね。だから鍋に残ったものを次の日までそのまま置いておくことがあるかもしれません。カレーなどは一晩寝かせたほうが美味しい場合もあります。ところが、そんな煮込み料理が大好きな食中毒菌が「ウエルシュ菌」です。
嫌気性の細菌のため、空気に触れない鍋の底の方で繁殖しやすい菌。
ねっとりしたカレーなんかはウエルシュ菌の繁殖に最適なんです。
食後6時間から18時間で腹痛や下痢を引き起こすのが特徴。
このウエルシュ菌は人や動物の体内にいることもありますし、土壌にも生息しています。つまりどこにでもいる菌です。
だから、菌を食品に付着させないことと菌を増殖させないことがポイントになります。
まずは菌を料理に入れないために手を洗うこと、そして室温で料理を長時間放置しないことが大切です。
ウエルシュ菌は12度以上から繁殖しますが、最も危険な温度帯は43度から45度です。この危険な温度帯をできるだけ早く通過させることがポイント。
保温性のある鍋でほのあたたかいまま数時間置いておく、なんていうのが一番危険です。
急速に冷ますとよい
急速に冷ますための便利グッズは大きめの保冷剤です。扇風機やうちわで風を送って冷ます方法も効果的です。
密閉できる袋に入れて、流水に浸して冷やすのもいいですね。
ごはん系で要注意の食中毒菌も
チャーハンやピラフで食中毒を起こすことがあります。しっかり加熱した料理なのになぜ?実は熱に強い「セレウス菌」が原因になります。
セレウス菌は河川や土の中に生息する菌で、低温(10度前後)から高温(90度から120度)でも毒性が持続するという、厄介な菌。
そのため、しっかり炒めたチャーハンでも食中毒になることがあります。
パスタや調理パン、あんこ、などでも食中毒の事例が多い菌なんです。
食後1時間以内に嘔吐または下痢症状が起きます。
セレウス菌は乾燥した穀類にも生息していることが多いため、お米や小麦を使った食物で食中毒になる事例があるというわけです。
すぐ食べるのが一番の対策に
ただし、少々セレウス菌を食べてしまっただけでは食中毒症状は起きません。
作った料理をすぐ食べるのなら問題はないんですね。
セレウス菌は広い温度帯で生息できますが、最も繁殖しやすい温度帯は28度から35度です。
つまり料理を室温で保存している間に繁殖することが最も危険なため、すぐに食べられない状況なら冷蔵庫(10度以下)で保管するようにしましょう。
保温するなら60度以上にしておくことが勧められています。一度セレウス菌が繁殖してしまうと、食べる前に温めただけでは殺菌できません。
(100度以上で10分以上加熱すると大部分が不活性化したという実験結果もあるようですが、それだけ高温にしてしまうとせっかくの料理が加熱し過ぎで違う料理になってしまいますから現実的ではありません。)
作り置き料理の取り扱い
こういった低温にも高温にも強い菌による食中毒のリスクを考えると、作り置き料理の取り扱いにも注意が必要です。
特に気温と湿度が高くて室温で菌が繁殖しやすいシーズンは、作り置き料理はお休みするか、急速冷凍・急速解凍を心がけるのが良いですね。
前述の「急速に冷やす方法」を実行した後冷凍庫で保存し、解凍の際は電子レンジで一気に、というのがおすすめです。
まとめ|菌をつけない・増やさないために
そのためには調理前、調理中、調理後にこまめに手を洗いましょう。
さらに菌を増やさないために、室温で料理を保存するのはやめましょう。
低温でも生きる菌、加熱に強い菌もいるため、食中毒の多い時期は作り置き料理の取り扱いにも気を配りましょう。
今月の食育ピクトグラムとして「手を洗おう」を取り上げました。
すっかり習慣になっているよ、という人が多いかもしれませんが、ぜひ気を抜かず続けていきたいですね。
「食育ピクトグラム」についてはこちらの記事をご覧ください▼
最後までご覧いただきありがとうございました*
来月の食育テーマもお楽しみに。
わたしはコロナ自粛期間を活用して食育インストラクター2級を取得しました。
食育インストラクターは公私共に活用できる知識が増えてかなりおすすめです*
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