コロナウイルスの影響で、マスクが売り切れ!
花粉症対策にもマスクが必要なのに、手に入らないと困りますよね。
実は不織布の使い捨てマスクは意外と丈夫にできています。
不織布のマスクも数回なら洗って再利用することも可能なんです。
私も実際に洗ってみました。
ただし注意点もいくつかありますので、合わせてご紹介します。
使い捨てマスクは紙ではなく不織布でできているので洗えます
使い捨てマスクは不織布でできています。
だから耐久性があり、しようと思えば再利用が可能です。
日本でもマスク不足からトイレットペーパー不足をイメージしたデマがありましたから、使い捨てマスクは紙マスクなのだと思っている人が多かったのかもしれません。
でも一般的な使い捨てマスクは、紙製ではありません。
ポリプロピレンやポリエチレンが原料の「不織布(ふしょくふ)」でできています。
不織布というのは、「織っていない布」という意味。
通常の布のように糸を縦横に通して織るのではなく、樹脂から作られた繊維を絡ませる方法で布のようなシート状に作っています。
紙よりも丈夫で破れにくく、成形も楽なので大量生産が可能なのですね。
ただ、感染症の拡大で、不織布の使い捨てマスクも品薄が続いています。
マスクが手に入らなくて困っているときは、再利用するしかありません。
ということで、この記事では不織布製の使い捨てマスクを水洗いして再利用する方法を紹介しますね。
洗ってウイルス対策になるのか、洗ってもマスクの効果は大丈夫なのか、という質問にも答えているので、続きからどうぞお読みください。
使い捨てマスクを洗うには中性洗剤がよい・界面活性剤の力で壊す
目に見えないウイルスや菌がついていると思うと、強力な漂白剤なんかで漬け置きすればいいんじゃ?と考えがちですが、
皮膚と密着するものなので漂白剤はNG。
確かに漂白剤の成分である次亜塩素酸ナトリウムは殺菌力がありますが、皮膚を溶かしたり塩素の臭いがきついので、使用に注意が必要になります。
そこで、台所用の食器洗いに使う合成洗剤がおすすめ!
中性洗剤で洗うと界面活性剤がウイルスの膜を壊すので、除菌効果が期待できます。
このウイルスを覆っている膜「エンベロープ」は脂質性のため、洗剤に弱いと考えられています。
新型コロナウイルスでの実証実験はまだされていないようですが、よく似たSARSウイルス(当時「新型肺炎」と呼ばれていた)の時には界面活性剤によるウイルス破壊の効果があったそうなので、やる価値はあると思います。
詳しくは新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)
どんな洗剤が良いのかについては、こちらのポスターの内容がとてもわかりやすいのでぜひ参考にどうぞ。
ご家庭にある洗剤を使って身近なものの消毒をしましょう(厚生労働省ポスター)
参考 共同通信・読売新聞「新型肺炎消毒に洗剤有効」2003年の記事
参考 感染症情報センター 「SARSに関する消毒」
参考 あさイチ2020年3月2日放送 「新型コロナウイルス 今知りたいこと」番組概要
不織布マスクの洗い方のコツ
ぬるま湯に台所用の合成洗剤(食器洗い洗剤)を垂らして泡立て、その中でマスクを優しく揺すり洗いします。
このとき「じゃぶじゃぶ」と勢いよく洗わないようにしましょう。万が一マスクにウイルスがついていた場合、飛沫が飛び散ってしまわないためです。
勢いよく洗いたい場合、密封できる袋や容器に入れてしっかり閉めてから振る、という方法があります。
「こすり洗い」や「もみ洗い」は毛羽立ちの原因になるのでご注意。
洗剤の界面活性剤成分がマスク全体にいきわたればOKなので、ごしごしこする必要はないのです。
ただメイク汚れなどがついている部分は、原液を付け足して指の腹でそっとこするようにすればきれいになります。
きれいな水で何度かゆすぎ、泡が出なくなったら水を切ります。
そっと絞ってから、キッチンペーパーなどにはさんで水気を取ります。
水気をとったマスクにアルコール消毒液をスプレーします。
※これはわたしの気持ち的にダブルの殺菌効果をイメージしたもので、必要かどうかはわかりません。
洗剤だけで十分ウイルスは減っているはずです。
(自分で配合したアルコール消毒液を使用)
ぶら下げて完全に乾燥させます。
洗って再利用するマスクは劣化することを理解して
乾いたマスクを確認してみると、特に毛羽立ちもなく、つけ心地は違和感なし。
内蔵ワイヤーがちょっとずれていたけれど、指先でそっと移動させて元通りの位置になりました。
見た感じは全くわかりませんが、洗ったことでマスクの不織布のきめが粗くなっているかもしれません。
特に機能性の高いマスク(3重構造とか抗菌機能など)は洗うと確実に劣化します。
例えば「サージカルマスク(医療用マスク)」の場合は、医療中の飛沫や血液から守るために表面が防水加工されています。
洗剤洗い、アルコール消毒などをすると、この防水機能が失われてしまい、医療用としては機能を果たせなくなります。
洗って見た目が変わっていなくても、機能的にはただのガーゼのマスクと同じくらいウイルスを通しやすくなっていると考えられます。
洗って再利用するときはこうした点を理解した上で、行う必要があります。
それでも飛沫予防、花粉対策の観点ではマスクをつけないよりはずっといいですよね。
気になるときは内部にガーゼや、マスクインナーなどを重ねて使うようにすると気分的にはいいかも。
▼洗えるマスクインナーは単体で販売されています▼
(マスクの劣化についてこちらの人民網日本語版記事やこちらの毎日新聞の記事が参考になりました)
使い捨てマスクに煮沸消毒やアイロンはだめ
洗った後の不織布マスクをさらに消毒したい場合、熱湯消毒やアイロンで殺菌する方法が思い浮かびますが、これはあまりよくありません。
「不織布」は耐熱性がないからです。
冒頭でも触れましたが、使い捨てマスクに使われている不織布の原材料は、ポリプロピレン樹脂やポリエチレンの樹脂です。
樹脂を繊維状にし、絡み合わせて布のようにしているわけです。
そして間にフィルターを挟むなど、何重にもなっていて機能を発揮する構造です。
ここに熱湯やアイロンなどの熱をかけてしまうと、溶けたりくっついたりして素材が傷んでしまいます。
そもそも前述の手順で水洗いすることでマスクの素材を痛めているところへ、さらに熱をかけてダメージを大きくしたくないですよね。
熱湯消毒・アイロン殺菌は布製のマスクには効果がありますが、不織布のマスクには行わないようにしましょう。
洗わないでアルコール消毒スプレーだけではダメ?
中性洗剤で洗うのが面倒だからシュシュっとアルコールスプレーを吹きかけるだけでも消毒できるのでしょうか?
実は不織布マスクの場合は、これだけでは十分な殺菌効果がありません。
不織布は前述のようにポリエチレンやポリプロピレンでできていますので、吸水性がありません。
吸水性がないため、繊維の内部までアルコールが入り込むことが難しく、完全な殺菌がしにくいわけです。
ですからアルコールスプレーをかけても、マスク表面だけしか消毒ができないことになります。
また濡れることで洗った場合と同じようにフィルター性能が劣化し、ウイルスバリア機能が落ちてしまいます。
特にアルコール成分は医療用マスクの防水性を低下させてしまうことがわかっています。
ということで、個人的にはアルコールスプレーをかけるだけよりも、中性洗剤で洗う方が内部まできれいにできるのでは、と感じています。
マスクの内側にスプレー除菌する場合
しかし同じマスクを着け続けなくてはいけないけれど、マスクの内側が臭くなってしまうときなどは、内側にかけるための除菌スプレーがあります。
これはウイルス対策ではなく、マスクの内側に繁殖する雑菌を除菌するためのものです。
このマスク用スプレーをアルコールスプレーで代用する場合は、完全に乾かしてアルコール成分を飛ばしてから着用する必要があります。
マスクの内側の雑菌を除菌する目的なら、50ppm以下に調整した「次亜塩素酸水」のスプレーも利用可能です。
作り方 簡単!プール用除菌剤で作る除菌スプレーの作り方手順|ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム|格安・たっぷり使えます
再利用できそうな使い捨てマスクはこんなとき
基本的には、使い捨てマスクは衛生を保つための「使い捨て」なので、頻繁に交換するべきもので再利用は勧められていません。
そもそも、ウイルスがいそうな場所につけていったマスクは再利用しないほうがいいでしょう。
表面を触らないようにして、ビニール袋に包んでゴミ箱へ・・。
でもマスク不足なので、貴重なマスクを大切に使う必要に迫られることもあります。
「念のためマスクをつけていったけれど誰とも接触しなかった」という場合の使い捨てマスクは、再利用してもいいかもしれません。
ただし、保菌者が触った場所に触れた手でマスクに触っている可能性もあります。
だからきれいに見えても安心はできません。
使用済みマスクはできるだけ早く洗って
マスクを再利用するなら、できるだけ早く洗うのがおすすめ。
インフルエンザウイルスの場合は、マスクや衣類に付着してから12時間は生存していると言われています。
表面が滑らかなプラスチックやガラス面、つるつるな手すりやドアノブなどでは最大48時間も生存しているそう。
SARSコロナウイルスの場合は、つるつるな面では最大9日間生存する可能性があるとのこと。
新型コロナウイルスの場合も同じほど生存力が強い可能性があります。
追記:新型コロナウイルス(COVID-19)の生存期間は、段ボール等の上で最大24時間、プラスチックなどつるつる面では最大3日、という検証結果が発表されました(2020年3月の米国立衛生研究所を含む合同チームの実験結果)。
ノロウイルスに至っては、最大2週間も生存している可能性があります。
ということで、再利用しようと思うマスクは汚れていないと思えても放置してはだめ。
万が一マスクにウイルスがついていたとしてもすぐに洗うことでウイルスの生存率を下げることができるはずです。
洗剤と流水で洗うなら殺菌はしきれなくても物理的にウイルスを洗い流すことになり、感染リスクが減ります。
同じく布製など「洗って使える」タイプのマスクも、帰宅後すぐに洗うのがおすすめです。
まとめ
使い捨てマスクは洗って再利用ができます。
洗う洗剤は家庭用の食器洗い合成洗剤でOK。
界面活性剤によってウイルスは死滅するとともに、流水で洗い流すことになるため、マスクにはほとんどウイルスが残らないと考えられます。
あくまで自己判断で行うことになりますが、再利用したいと思う場合は今回の洗い方を参考にしてみてくださいね。